須磨コラム『動脈硬化の怖さ』

心臓は1日に約10万回動きます。動くためには栄養分が必要です。その栄養分(血液)を送るパイプが冠動脈という血管です。心臓から送り出された血液が出ていく大動脈の根元から、心臓を包むように冠動脈が出ています。そこから心臓の筋肉に血液が送られているわけです。冠動脈が狭くなると、胸が苦しい、動くと息切れがするなどの症状があらわれます。これを狭心症といいます。そして、完全に詰まってしまうと心筋梗塞になります。

その原因は動脈硬化がほとんどです。血管の内側にコレステロールや血小板などがいっぱい溜まってきて中が詰まってきます。本当は血管内が開いているはずが、どんどん壁が分厚くなって通り道が狭くなってくる。こうなると、ちょっと動くと苦しいという症状が出てくるわけです。

width=

実際分厚くなった血管壁には黄色いおからみたいなものが詰まっていて、血液の通り道が狭くなっています。こういうおからのようなものをプラークといいます。このプラークを包む薄い膜が破れると、流れている血液が触れて血栓になります。そうすると、あっという間に心筋梗塞になってしまいます。そのため、狭心症の方は血液をサラサラにする薬を飲み、血栓ができないように予防しているわけです。

もう一つは、冠動脈の動脈硬化がどんどん年季が入って長い時間経過すると、血管の壁が石みたいになります。これを石灰化といいます。石灰化が増えてくると、血管の中が詰まってきている可能性が非常に高くなります。
この石灰化をmedockでは心臓のCT検査できちんと見つけます。本人は元気にしていて何も問題ないと思っておられた方が、健診に来て冠動脈に石灰化が見つかり、専門病院で検査を受けたら、ほとんど中が詰まりかかっていて、すぐ治療して助かった方は何人もいます。だから心臓のドックって本当に大事なんです。

さて、動脈硬化は怖いですが、動脈硬化は誰でもなります。20歳くらいから動脈硬化の引き金は引かれていて、皮膚のしわと一緒で、年とともにひどくなるだけで、だれでも動脈硬化はあるんです。それが加速して血管が詰まったり破れたりすると問題なわけです。その動脈硬化を加速させる因子がメタボリックファクターです。肥満の原因は様々で、食べすぎもあるし運動不足もあるし、元々太りやすい体質もあります。肥満があったら当然コレステロールが高くなり、糖尿病になりやすく、血圧も高くなる。これらがそろってくると動脈硬化が非常に加速して進行が速くなります。

いま挙げた、・(内臓脂肪)肥満 ・糖尿病 ・脂質異常 ・高血圧、この4つの危険因子が全くない方と比べると、3~4つある方は心筋梗塞になる確率が31倍になります。そのため厚生労働省はメタボ対策といって、動脈硬化が進行しないように警告をしているわけです。


須磨 久善
心臓外科医/medock総合健診クリニック院長

心臓手術を5000例以上経験し、世界で初めて胃大網動脈を用いた冠動脈バイパス手術を開発し、日本で初めてバチスタ手術を成功させる。その後「改良型バチスタ手術」「SAVE手術」の考案により成功率を飛躍的に高めた。後にSAVE手術は「SUMA手術」とも呼ばれようになる。日本心臓病学会栄誉賞受賞。


medockの心臓ドック、大動脈ドックは、CT・MRIを使用して今の動脈硬化の状態をきちんと調べます。
ぜひ一度ご受診ください。

詳しくはこちらをご覧ください☞『心臓ドック・プレミアムハートドック』『大動脈ドック』

アーカイブ

Categories