medockコラム『腸腰筋 ② 』

運動と腸腰筋

腸腰筋は上半身と下半身をつなぐ唯一の筋肉です。この筋肉は良い姿勢を保つために使われ、自分の脚で立ち、脚を持ち上げてしっかりと歩くための役割を持ちます。
『腸腰筋➀』では筋肉量の減少と筋力低下(サルコペニア)、それに伴う虚弱(フレイル)についてお話いたしました。
今回はアスリートの腸腰筋についてお話いたします。

medockでお腹のCT検査を受けられた方の3D腸腰筋計測を行い、一般平均(年代、性別、体格毎)を算出しました。
その中でもアスリートは通常よりも腸腰筋が発達しているものと考え、プロアスリートの筋量測定を行い、比較をしてみました。
良い姿勢を維持するために重要な腸腰筋。アスリートにはどのように作用するのでしょうか。

※ 腸腰筋の役割について、詳しくは腸腰筋➀をご覧ください。

アスリートの腸腰筋

ゴルフ、サッカー、野球などのプロ選手20数名の方の3D腸腰筋計測を行いました。以下をご覧ください。


一般男性の大腰筋です。
右大腰筋は170.4mL、左大腰筋は175.9mLでした。総量は同性・同年代・同体型平均よりも少し多いくらいです。形状、筋量に左右差は見られません。
これから出てくるアスリートの画像と比較してみてください。


こちらは、プロ野球選手で、右投げの投手です。
右大腰筋は340.8mL、左大腰筋は352.8mLでした。総量は平均と比べて200mL以上多くありました。右よりも左大腰筋が少し大きく、全体的に骨盤より上にある筋肉が太くなっています。他の右投げの投手も同様の結果でした。


こちらは、プロサッカー選手で、利き足が左のミッドフィルダーです。
右大腰筋は387.1mL、左大腰筋は422.9mLでした。総量は平均と比べて300mL以上多くありました。右に比べて左大腰筋が非常に大きく、全体的に骨盤内の筋肉が太くなっています。利き足やポジションによる違いもありました。


こちらは、右打ちの男性プロゴルファーです。
右大腰筋は431.3mL、左大腰筋は464.9mLでした。総量は平均と比べて400mL以上多く、全測定者の中で最大です。左大腰筋が大きく、他の右打ちの男性ゴルファーも同様でした。利き腕の影響があると思われますが、左利きのゴルファーの情報がなく、推測段階です。


こちらは、右打ちの女性プロゴルファーです。
右大腰筋は132.7mL、左大腰筋は153.4mLでした。男性と比べると筋量は少ないですが、同性・同年代・同体型平均と比べて100mL以上多かったです。こちらも左大腰筋が大きく、他の右打ちの女性ゴルファーも同様でした。男性と比較して全体的に筋肉が細くすらっとしています。


左右の筋量バランスの違いは運動量と動きが関係しているように思います。投手やゴルファーはひねりを生かした動き、サッカー選手は蹴り足の力の入れ方でしょうか。お話を伺うとそれぞれ力の加え方には違いがあるようですが、より使われている筋肉が育つことを考えると、例えばゴルフでいえば飛距離に、投手でいえば球速に影響するのかもしれません。
筋量バランスが異なることで、歩く・走るなどの動作の時に、左右の動きの差が出てきます。通常は筋量が多く左右差がないのが理想的ではありますが、競技に特化した筋肉の形体になっていくのでしょう。

ひねりと曲げ伸ばしが筋量増加に効果的なのかと考え、medockスタッフ有志で2か月間、もも上げひねり体操を行ってみましたが、効果的に筋量が増加しました。直接見ることができるのはトレーニングのモチベーションアップにも生かされます。また、直接画像で個々の筋肉の構造が分かるので、個人にあったトレーニング法なども構築できるかもしれません。

経年で測定することにより、調子のよいときに合わせたトレーニングをし、その効果を直接見ることができるのがこの検査の特長です。自分に合ったトレーニングができているか、過剰な運動をしていないか、などの指標としてご利用いただけると思います。

見ることができなかった腸腰筋、インナーマッスルを見ることができる『medockの3D腸腰筋計測』は腰痛ドックに含まれている検査です。

詳しくはこちらをご覧ください☞腰痛ドック

腸腰筋の役割についてはこちら ☞『腸腰筋 ➀ 』

すべての方の健康寿命を延ばすため、medockでは様々な取り組みを行なっております。

medock放射線課
放射線検査・CT・MRIなどを担当いたします。
丁寧な検査を心がけております。不安なことがございましたらいつでもお声がけください。

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