前立腺の検査

medockで行なっている前立腺の検査は骨盤部MRI検査と高感度PSA(前立腺腫瘍マーカー)です。

高感度PSA(前立腺腫瘍マーカー)

PSAは前立腺特異抗原(prostate specific antigen)という、前立腺の表面を覆う細胞から分泌されるたんぱく質です。多くは精液中に分泌され、一部が血液中に取り込まれます。がんや炎症などによって前立腺の組織が壊されるとPSAが血液中に漏出します。基準値は4ng/mL以下で、年齢によって基準値を低く設定する場合もあります(65歳未満は3ng/mL以下)。PSAが4~10ng/mLの方の25~40%に前立腺がんが発見されます。前立腺がんを早期発見するのに有用な検査ではありますが、異常値が出たからといって必ずしも前立腺がんというわけではありません。4ng/mL以下で前立腺がんが見つかる方や、10ng/mLでがんが見られない方もいらっしゃいます。また、前立腺肥大や前立腺炎でもPSAは上昇し、射精や長時間の車の運転のような前立腺への刺激でも上昇することがあります。反対に、脱毛治療薬であるプロペシア(フィナステリド)はPSAを約50%低下させることが知られておりますので、服用されている方はPSAの値を倍にしてお考えください(倍にした数値が4ng/mL以上であればD2判定になります。)。

骨盤部MRI検査

前立腺の形状や大きさ、内部構造をMRIで観察し、前立腺がんや前立腺肥大などの骨盤腔内疾患をみつける検査です。膀胱や精嚢腺の評価も可能です。検査時間は20分程度です。
T1、T2という見た目が異なる画像と、周辺の脂肪信号を抑制した画像、水分の動き(ブラウン運動)を画像化した拡散強調画像を撮影します。これらにより前立腺の形状や内部構造を観察することができます。

T2強調画像

拡散強調画像

ADCmap

上の画像は前立腺のMRI画像です。左の画像で前立腺の形状、大きさ、内部構造などを見ます。真ん中の楕円形の濃灰色が前立腺の中心領域・移行領域という部分です。その周辺を囲む薄灰色が辺縁領域という部分です。真ん中の画像では辺縁領域(矢印の先)に白い点が見えます。拡散強調画像では水分子の動きにくい部分を白く表す特徴があります。がんや梗塞などの病変は細胞と細胞の間が狭く、水分子が自由に動き回ることができません。右の画像はADCmapといい、水分子の動きにくい部分を黒く表します。拡散強調画像で白く、ADCmapで黒く表示された場合は水分子が動きにくい事を表します。これらのことから、前立腺がんが疑われます。

前立腺の疾患

前立腺の正常径は3×4㎝、体積は10~20mLです。前立腺肥大症は、主に前立腺内側(移行領域)が大きくなり、尿道や膀胱を圧迫します。そのため残尿感や頻尿症状が現れます。膀胱は残っている尿を押し出そうとするため、膀胱の壁が厚くなります。徐々に膀胱容積が小さくなり、弾力性が失われ、排泄能力は低下するので残尿量が増加します。
さらに前立腺肥大症を放置すると、尿路感染や膀胱結石などの合併症が起こりやすくなり、 また膀胱内に多量の尿が残ることで、尿を生成する腎臓に負担がかかり、腎機能障害を引き起こす可能性も生じます。
前立腺がんは、主に前立腺外側(辺縁領域)に発生しやすい疾患です。早期では症状が現れにくく、進行するにしたがって残尿感や頻尿症状が現れます。骨転移を起こすと腰痛症状なども現れます。

前立腺肥大症と前立腺がんは全く異なる疾患なので、前立腺肥大症が前立腺がんに変異することはありませんが、前立腺肥大と前立腺がんが同時発生することはありますので注意が必要です。

前立腺がんの確定診断には生検が必要になります。ただ、PSAで異常値が出た段階で前立腺に針を刺す生検は抵抗があると思います。まずはMRI検査の受診をおすすめいたします。

前立腺がんは早期に症状が現れにくい事から日本泌尿器科学会では40歳以上の方へ前立腺検診を受けることが推奨されています。

40歳以上の方・PSAが高い方は症状が出る前に、専門家が推奨する項目を取り入れたmedockのメンズドックの受診をご検討ください。

詳しくはこちらをご覧ください ☞ メンズドック

medock放射線課
放射線検査・CT・MRIなどを担当いたします。
丁寧な検査を心がけております。不安なことがございましたらいつでもお声がけください。

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