脳萎縮とアルツハイマー型認知症

先日、日本のエーザイとアメリカのバイオジェンという医薬品メーカーが開発した、「レカネマブ」という薬品についてニュースになりました。

このお薬は、アルツハイマー病の治療薬として開発され、厚生労働省が薬事承認を了承しました。国内初のアルツハイマー病治療薬として、早ければ年内にも日本で使用できるようになるかもしれません。

アルツハイマー病

アルツハイマー病は、不可逆的な(戻ることのない)脳疾患で、症状は記憶の障害(もの忘れ)から始まり、徐々に認知機能全体が低下してきます。

 最初は、少し前のことが思い出せないようなもの忘れが目立つものの日常生活にはほぼ支障がありません。この状態がアルツハイマー病による軽度認知障害といいます。時間がたつにつれて認知症となり(アルツハイマー病による認知症・アルツハイマー型認知症)、軽度、中等度、高度と徐々に進行していきます。

アルツハイマー病の原因として、アミロイドβというたんぱく質が脳に沈着することが挙げられます。アミロイドβが溜まることで、次第に脳が委縮(小さくなる)するといわれています。

「レカネマブ」はアルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβが脳に沈着するのを防ぎます。

アルツハイマー病とVSRAD(ブイエスラド)

アルツハイマー病は進行すると脳の萎縮が始まりますが、海馬とよばれる記憶の中枢から萎縮していくといわれています。

VSRADという検査は、この海馬やその周辺、および扁桃といわれる部分の萎縮度をMRIを用いて調べる検査です。このVSRADはレカネマブを開発したエーザイが長い期間かけて考案した、脳萎縮の程度を調べる検査です。

VSRAD用のMRI検査によって萎縮の程度をスコア化し、正常値と比較をします。

VSRADの結果だけでは認知症の診断はつけられませんが、継続的に検査を受けることによって、萎縮の程度が将来の認知症可能性の判断をつけることができます。

認知症にならないために

アミロイドβの蓄積をふせぐには運動が一番といわれています。適度に運動をし、質の良い睡眠をとることで、脳の健康は守られます。

ご自身の今の状態を知るために検査をすることも大切です。
VSRADは頭部MRI検査に追加して行うことができ、痛みもなく短時間で終わります。

レカネマブの治療適応は軽度認知障害から軽度認知症とされています。
早い段階で見つけることが非常に重要です。

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