当院の健診では、より精密に体の状態を確認できる画像検査として、DWIBS(ドゥイブス)、腹部MRI(MRCP含む)、骨盤MRIを導入しています。
いずれも放射線を使わず、安全に体の内部を詳しく確認できる検査です。
それぞれの特徴や得意分野、注意点を理解することで、ご自身の目的に合った検査を選ぶことができます。
特に当院では、DWIBSは胸腹骨盤部をまとめて効率よく確認でき、短時間で終了するためおすすめの健診検査の一つです。
DWIBS(Diffusion-Weighted Imaging with Background Body Signal Suppression)は、MRIの一種で、胸部・腹部・骨盤部をまとめて撮影できる検査です。
体内の水分子の動きを画像化し、腫瘍や炎症など「細胞密度の高い部分」を強調して描出します。
がんリスクの広範スクリーニングとしておすすめの検査です。
DWIBSはMRIの原理上、体内の水分子の動きを検出し、細胞密度が高い部分を強調して描出します。
そのため、構造や環境によっては苦手とする臓器・病変があります。以下に代表的な例を挙げます。
DWIBSはMRIの原理上、水分子の動きを検出します。そのため、空気を多く含む肺は信号が得られにくく、肺がんや肺結節の検出には不向きです。
肺の評価には胸部CTが圧倒的に優れています。
(※当院ではDWIBSに低線量胸部CT検査が標準で組み込まれています)
理由:
脳のMRIには専用の撮影(T1・T2・FLAIRなど)が必要であり、DWIBSでは病変の位置や性状を十分に評価できません。
理由:
胃や腸などの消化管は、内容物や蠕動運動(ぜんどう)の影響で信号が不安定になります。
そのため、粘膜面の微細な変化や早期がんの検出には不向きです。
これらは内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)での評価が最も正確です。
理由:
DWIBSは骨の内部(骨髄)の変化はある程度捉えられますが、骨皮質(硬い部分)や骨表面の小さな変化には弱い傾向があります。
骨転移などのスクリーニングには有用ですが、骨折や初期の骨変化を評価するにはCTや専用MRIが適しています。
理由:
DWIBSは広範囲をカバーできる反面、解像度は臓器専用MRIより低くなります。
そのため、数mm程度の小さな病変や、膵臓・副腎・甲状腺などの小臓器の詳細な観察は苦手です。
理由:
腹部MRIは、肝臓・胆のう・膵臓・腎臓などの腹部臓器を高精細に撮影できる検査です。
さらに、MRCP(胆管・膵管撮影)を含むことで、胆管や膵管の形態も確認できます。
DWIBSよりも局所的に詳しい情報を得ることができ、腫瘍や炎症、脂肪肝、胆石などの診断に優れています。
骨盤MRIは、子宮・卵巣・前立腺・膀胱などの骨盤内臓器を高精度に描出する検査です。
婦人科疾患(子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍など)や、前立腺がん、膀胱の異常を早期に発見できます。
| 検査名 | 主な対象部位 | 放射線被ばく | 主な特徴 | 主なメリット |
|---|---|---|---|---|
| DWIBS(胸腹骨盤部) | 胸部・腹部・骨盤部 | なし | 広範囲を効率よく撮影 | 短時間(約30分)で広範囲確認・造影剤不要 |
| 腹部MRI(MRCP含む) | 肝臓・胆のう・膵臓・腎臓・胆管・膵管 | なし | 局所の質的診断に優れる | 高精細・胆管・膵管も評価可能 |
| 骨盤MRI | 子宮・卵巣・前立腺・膀胱 | なし | 軟部組織の描出に優れる | 婦人科・泌尿器疾患に有効 |
DWIBS・腹部MRI(MRCP含む)・骨盤MRIはいずれも放射線を使用せず、安全に体の内部を確認できる検査です。
それぞれの特徴を理解し、目的に合わせた最適な検査を選ぶことで、より精度の高い健診が可能になります。
検査内容や組み合わせについては、当院スタッフまでお気軽にご相談ください。