乳がんの検査~マンモグラフィ・超音波・MRI~

乳がんを見つける検査はマンモグラフィや超音波(エコー)検査が一般的です。小さな石灰化として現れる乳がんはマンモグラフィが、小さなしこり(腫瘤)として現れる乳がんは超音波検査が描出に優れています。それぞれ役割が違うため両方を受けることが正確な診断を得るためには理想的です。
日本乳癌学会の乳癌診療ガイドライン2022年版によると、感度(乳がんを正確に乳がんと判断する確率)に関して、マンモグラフィ単独では62~85%、超音波検査単独では54~73%でした。マンモグラフィと超音波検査とを併用する方法での感度は85~94%と感度上昇が示されています。

*40歳以上の方を対象とした研究論文による感度評価です。

30代後半から乳がんにかかる方が増えはじめるので、40歳以上の方には毎年定期的な検診をおすすめしております。

マンモグラフィ

マンモグラフィはエックス線を使用した乳房検査です。早期乳がんに特徴的な石灰化を見つけるのに優れています。

痛い検査というイメージを持たれる方が多いマンモグラフィですが、痛みの原因は乳房の圧迫にあります。しっかりとした検査をするためには適度な強さの圧迫が必要になります。理由は以下の通りです。

  • 腫瘤と正常な乳腺の重なりを抑えることで、病変を見つけやすくします
  • 乳房全体を均一に広げることで、ムラなく鮮明な画像が得られます
  • からだの動きを抑えます
  • 放射線被ばくの抑制効果が高まります

圧迫が不足していると見つけられる病変も見落としてしまう可能性が高まります。

どうしても乳房が張っているときは痛みが強くなります。個人差はありますが、月経1週間前くらいは、乳房が張って痛みを感じることがあります。乳房がやわらかい状態になるタイミングで検査を受けることをおすすめします。目安としては月経開始後7~10日目くらいです。

微量の放射線被ばくはありますが、直ちに健康に害を及ぼす被ばく量ではありません。ですが、妊娠中や妊娠の可能性がある方はお受けいただけません。乳房を圧迫しますので授乳中の方はお受けいただけない場合がございます。スタッフまでご相談ください。

高濃度乳房

乳房は、乳腺と脂肪から構成されており、高濃度乳房とは、乳腺がよく発達した状態の乳房のことをいいます。
下の画像は乳房のタイプ別にしこり(腫瘤)や石灰化がどのように見えるかを表しています。4枚の画像の中、赤丸で囲まれた部分に模擬腫瘤(薄灰色のとげとげ)と模擬石灰化(白点)を置いてみました。右に行くほどしこりは見えにくくなっていると思います。

マンモグラフィでは、脂肪は黒から濃灰色、乳腺は薄灰色から白で表現されます。しこり(腫瘤)は白くうつるので、脂肪の多い乳房(脂肪性)や、乳腺が散在しているタイプでは見つけやすいですが、乳腺の発達した高濃度乳房(デンスブレスト)では、同じくらいの色のしこりが見えにくくなってしまいます。石灰化は乳腺よりも白く見える場合が多いため、(専用の高精細モニタが必要ですが)高濃度乳房であっても見つけることができます。早期の乳がんには小さな石灰化が見られることがあるので、マンモグラフィは早期乳がんを発見するのに有効な検査です。

高濃度乳房は日本人女性に多く、特に閉経前の若年女性によく見られます。高濃度乳房の方にはマンモグラフィと乳房超音波検査の併用が病変の発見に効果的だということが、J-startという国家プロジェクトにより明らかになりました。

乳房超音波(エコー)検査

超音波を使用する検査なので放射線被ばくがなく、妊娠中や妊娠の可能性がある方、授乳中の方も受けることができます。触診ではわからないような小さなしこりを見つけることができ、形・内部の様子なども詳しく調べることができます。
乳腺が発達している若年者でもしこりを見つけることができ、乳腺濃度に影響を受けないのが特徴です。圧迫がないので痛みがありません。

このように特徴の異なるマンモグラフィ、乳房超音波検査なので、どちらかの検査でしか見つけられない病変も存在します。日本人に多い高濃度乳腺の場合は病変自体が乳腺に隠れてしまい、マンモグラフィでは見つけにくいですが、超音波検査は乳腺の濃度に左右されず見つけることができます。また、乳がんの初期に見られることがある石灰化は乳房超音波検査では見つけにくく、マンモグラフィでは見つけることができます。両方に得手不得手があるため、どちらか一方ではなく両方受けることが理想的なのです。

乳房MRI検査

圧迫がないため痛みがない、MRIによる乳がん検査です。

BRCA1、BRCA2遺伝子に変異のある女性(遺伝性乳がん卵巣がん症候群の家系)は乳がんの発症リスクが高いため、25歳からの乳房MRIによる乳がん検診を行うことが勧められています。

通常は造影剤を使用した検査を行いますが、medockでは造影剤を使用せず、拡散強調という技術により代用しております。造影剤の副作用がありませんので安心して検査をお受けいただけます。

マンモグラフィの補助検査としてPET-CTを組み合わせる事がありますが、乳がん検診としての有効性は確立されておらず、注射薬剤とCTからの放射線被曝があります。

MRIであれば放射線被曝もなく、圧迫による痛みもありません。乳房手術後のインプラントの状態確認にも利用することができます。

乳がんになりやすい人は?

  • 40歳以上
  • 初産年齢が高い(出産をしていない)
  • 授乳経験がない
  • 初潮が早く、閉経が遅い
  • 閉経後の肥満
  • 高身長
  • 家族(母親、姉妹など)に乳がんにかかった人がいる
  • 乳がんや良性の乳腺疾患になったことがある
  • 喫煙
  • 飲酒量が多い

乳がんは早期発見で90%以上が治るといわれています。
定期的な乳がん検診を受けてください。

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medock放射線課
放射線検査・CT・MRIなどを担当いたします。
丁寧な検査を心がけております。不安なことがございましたらいつでもお声がけください。

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