medockでは、肺の画像診断として胸部エックス線検査と胸部CT検査を行なっております。胸部エックス線検査は皆様が定期検診やドックでお受けいただいている一般的な検査です。胸部CT検査はさらに詳しく肺や縦隔(肺に囲まれた部分)の検査をいたします。両検査とも主に肺がんの早期発見を目的としております。
胸部エックス線検査の特徴は、簡単な検査で放射線被ばくも少なく、肺の全体像を見ることができます。濃い肺がんであれば小さいものでも見つけることができますが、淡い肺がん、骨や心臓の前後に重なっている肺がんは見つけることが難しいです。
対して胸部CT検査の特徴ですが、以前は時間がかかり被ばくも多く、敬遠されていた検査でした。近年の胸部CT検査は、以前に比べて短時間に簡単にできるものが多く、medockでは低線量で被ばくを抑え、3秒間の高速撮影で検査を終えることができます。低線量短時間の検査でありながらも画質は高く、淡く小さい肺がんも見つけることができ、胸部エックス線検査のような死角もありません。
後述しますが、肺がんの早期発見には胸部CT検査がおすすめです。
肺がんの主な原因は喫煙です。喫煙経験のない方と比較すると喫煙されている方は4倍以上*、過去に喫煙経験がある方は 2倍以上肺がんになりやすいといわれております。扁平上皮がんや小細胞がんなど、喫煙の影響を受けやすいがんでは10倍以上もなりやすく、喫煙が肺にもたらす影響が大きいことが分かります。
*Int J Cancer . 2002 May 10;99(2):245-51. doi: 10.1002/ijc.10308.
肺がんの罹患数は年々増え続けています。男性の罹患が圧倒的に多いのは喫煙者数が関係しています。国民健康・栄養調査によると、2018年の喫煙割合は男性で29.0%、女性で8.1%でした。1960年代は喫煙割合が80%を超えていましたので、だいぶ減ってきました。それでも女性の3倍以上。男性に肺がん罹患者が多いのは理解できます。
では、喫煙率が減少しているのに肺がんが増加しているのはなぜでしょう。
肺がんと喫煙は無関係というわけではありません。やはり肺がんの1番の原因は喫煙です。高齢化に伴い肺がん罹患数が増加しているため減らない状況だと思われます。
また、近年非喫煙者の女性に肺腺がんが多く見られるようになりました。これには女性ホルモンが関係しているといわれています。初潮の時期が早い、閉経の時期が遅い方の肺がん罹患率が高いという研究報告があり、エストロゲン(女性ホルモン)が肺がんの発症に関係していることが分かってきました。喫煙の影響も考えると男性喫煙者より女性喫煙者は肺がんを発症しやすくなると考えられます。
電子たばこや加熱式たばこについては、まだ歴史が浅くしっかりとした情報がありません。喫煙の影響による肺がんで死亡に至るのには30年かかるといわれております。肺以外にも悪影響を及ぼす可能性もありますし、今は大丈夫でも先々体に悪影響があったと判明することはよくあることです。使用している方は注意深く見ていく必要があります。
数年前から肺がん死亡数は減少傾向にあります(上記は高齢化による影響を除外した年齢調整後のグラフです)。治療技術の向上や喫煙率の低下が大きな要因と考えられますが、実は肺がん検診も死亡数減少に貢献しております。2019年の日本CT検診学会でこのような報告がされました*。
茨城県日立市の住民を対象とし、2006年から2012年まで低線量CT検診群17395例(男性9790名、女性8145名)、X線検診群15548例(男性6526名、女性9022名)を比較しました。その結果、低線量CT検診群はX線検診群に比べて、肺がん死亡リスクが51%減少、全死亡も43%減少しました。低線量CTの肺がん検出能力が高いことが分かります。
*Jpn J Clin Oncol . 2019 Feb 1;49(2):130-136. doi: 10.1093/jjco/hyy185.
早期発見で手術を受けた肺がん患者の5年生存率は約70%です。ですが発見が遅くなると生存率は大きく下がります。肺がんの生存率は病期(ステージ)や種類によって異なりますが、いずれにしても早期に発見できれば治る可能性は高まります。
喫煙歴のある方、月経期間が長い方は特に、そうでない方も定期的に低線量胸部CT検査を受けて肺の健康を保ちましょう。
medockの低線量CTで肺の健康確認を。詳しくはこちらをご覧ください。
medock放射線課
放射線検査・CT・MRIなどを担当いたします。
丁寧な検査を心がけております。不安なことがございましたらいつでもお声がけください。