medock総合健診クリニックでは、各専門分野の名医と連携し、皆様の健康をサポートしています。今回は、大腸がん腹腔鏡手術の日本屈指のエキスパートである虎の門病院の黒柳洋弥先生に、大腸がんについて全3回にわたってお話しいただきます。第1回は黒柳先生の自己紹介と大腸の構造について、第2回は大腸がんの症状・診断・治療について、第3回は直腸がんの肛門温存手術について詳しく解説いただきます。
虎の門病院 副院長 黒柳 洋弥先生による特別コラム|第2回
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 副院長
消化器外科(下部消化管)部長 黒柳 洋弥
小腸にがんができることはかなり稀なのですが、大腸には比較的がんができやすく、大腸がん、あるいは部位ごとに上行結腸がん、S状結腸がん、直腸がんなどと呼ばれます。
大腸がんは出血しやすいので、最初の症状は血便のことが多いです。健康診断で便潜血検査を行うのは、肉眼ではわからない少量の出血を見つけるためで、もし陽性なら、ためらわずに大腸内視鏡検査を受けましょう!ただし、便潜血陽性でも大腸癌が存在している確率は低く5%以下と言われていますので、それほど心配しなくて大丈夫です。
がんが大きくなってくると腸の通りが悪くなり、お腹が張る、排便回数が増えるなどの症状が出てきて、最終的には腸閉塞を起こします。こうなるととても苦しいです。
ピンチはチャンス!と前向きに考えてください
大腸がんは早期発見できれば治る可能性は極めて高く、たとえ進行していても手術で取れれば治るチャンスが高い、いわゆる治しやすい癌です。診断された=見つけてもらった、見つけてもらった=治療を開始できる、というふうに考えてください。一番怖いのは、癌が潜んでいるのに見つかっていない状態です。
大腸がんと診断された患者さんは皆さんショックを受けると思いますが、診断された=見つけてもらった、見つけてもらった=治療を開始できる、というふうに考えてください。一番怖いのは、癌が潜んでいるのに見つかっていない状態です。
大腸がんの手術では、がんから7〜8cmの距離をとって、がんを含んだ大腸を切除しますので、だいたい15cm程度の大腸を取ることになりますが、先程書いたように大腸の働きは余裕がありますので、直腸がんの手術以外、体調の変化はほとんど起こりません。
また多くの場合、小さなキズの腹腔鏡手術が可能ですから、痛みも早い段階で気にならなくなります。逆に、腸閉塞で調子が悪かった方なら、術後はとてもお元気になります。通常術後1週間で退院できます。
次回【第3回】は直腸がんの肛門温存手術について詳しくお話しします。

黒柳洋弥(くろやなぎ・ひろや)
国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 副院長
消化器外科(下部消化管)部長
遺伝診療センター センター長
略歴
1962年 米国シカゴ生まれ
1987年 京都大学医学部卒業
1987年 京都大学医学部附属病院外科 入局
1988年—2005年 国立京都病院
2000年—2001年 米国マウント・サイナイ病院留学
2005年 公益財団法人がん研究会 有明病院
2010年 虎の門病院 消化器外科(下部消化管)部長
2019年 同副院長
主な受賞歴
2019年 日本内視鏡外科学会 第12回大上賞受賞
2021年 日本内視鏡外科学会 技術審査委員長(消化器・一般外科領域)
大腸がん腹腔鏡手術のパイオニアとして、モニターでの指導数も含めて5,000件超の症例を手掛ける、日本屈指の技術を持つ消化器外科医。特に直腸がんの肛門温存手術に力を注ぎ、「折れない心」をモットーに患者さんと向き合い続けている。

『外科医の矜持 腹腔鏡手術に魅せられた36年』
著者:黒柳洋弥
出版社:ゆみる出版
価格:1,870円(税込)
発売日:2025年3月
外科医としての手術を学ぶことの楽しさ、奥深さ、患者さんの人生に関わることの重さ、そこから得られる喜びを、若い世代へ、そしてこれから手術を受ける方々へ向けて綴った一冊。自分の知識と技術、そして折れない心を持って、患者さんと一緒にその一大事に立ち向かうこと、それこそが外科医の矜持である、という想いが込められています。