medock名医コラム|虎の門病院 副院長 黒柳 洋弥先生が語る大腸の基礎知識

medock総合健診クリニックでは、各専門分野の名医と連携し、皆様の健康をサポートしています。今回は、大腸がん腹腔鏡手術の日本屈指のエキスパートである虎の門病院の黒柳洋弥先生に、大腸がんについて全3回にわたってお話しいただきます。第1回は黒柳先生の自己紹介と大腸の構造について、第2回は大腸がんの症状・診断・治療について、第3回は直腸がんの肛門温存手術について詳しく解説いただきます。

虎の門病院 副院長 黒柳 洋弥先生による特別コラム|第1回

自己紹介と大腸の構造

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 副院長
消化器外科(下部消化管)部長 黒柳 洋弥

自己紹介

私の名前は黒柳洋弥(くろやなぎ ひろや)。1962年寅年生まれ、2010年寅年に虎の門病院に着任。現在副院長をしております。ちなみに野球は当然ながら阪神タイガースファン。専門は消化器外科医、特に大腸がんの腹腔鏡手術を得意としています。

腹腔鏡手術とは、昔なら20〜30cmの大きなキズをつけて行っていた手術(開腹手術)を、カメラを用いて約4cmの小さなキズで行う手術のことを言います。大腸がんの腹腔鏡手術は約30年前に始まりましたが、私はその最初の頃から携わってきました。

大腸の構造と働き

大腸はおなかの右下から始まり、時計回りにおなかの中を一周し肛門に至る、1本の長い管です。大腸の上流には小腸があり、食べたものの栄養分はすべて小腸で吸収され、大腸で行われるのは水分吸収だけです。「大腸全摘」という手術は存在しますから、極端に言うと大腸は”無くても生きていける臓器”です。

長い管ですが、場所ごとに名前がついていて、順に盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、最後肛門から15センチくらいを直腸と呼びます。結腸と直腸は分けて考える必要があります。結腸は腸管内容物の水分を吸収しながら流していくところですが、直腸はそれを溜めるところ。直腸は、その下にある肛門と一緒に、排便機能にとって非常に重要な働きをしているのです。

15センチの直腸が、たとえば半分になると、便を溜められるところが半分になってしまい、1回の排便量が少なくなり、結果として排便回数が増えるということになります。実際に直腸がんで手術をして、直腸が短くなるとそういった症状が必ず起こります。一方結腸は働きに余裕があるので、たとえば半分の長さになっても、水分吸収で困るということにはなりません。

次回【第2回】は大腸がんの症状・診断・治療について詳しくお話しします。


名医プロフィール

黒柳洋弥先生

黒柳洋弥(くろやなぎ・ひろや)

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 副院長
消化器外科(下部消化管)部長
遺伝診療センター センター長

略歴

1962年 米国シカゴ生まれ
1987年 京都大学医学部卒業
1987年 京都大学医学部附属病院外科 入局
1988年—2005年 国立京都病院
2000年—2001年 米国マウント・サイナイ病院留学
2005年 公益財団法人がん研究会 有明病院
2010年 虎の門病院 消化器外科(下部消化管)部長
2019年 同副院長

主な受賞歴

2019年 日本内視鏡外科学会 第12回大上賞受賞
2021年 日本内視鏡外科学会 技術審査委員長(消化器・一般外科領域)

大腸がん腹腔鏡手術のパイオニアとして、モニターでの指導数も含めて5,000件超の症例を手掛ける、日本屈指の技術を持つ消化器外科医。特に直腸がんの肛門温存手術に力を注ぎ、「折れない心」をモットーに患者さんと向き合い続けている。

著書紹介

外科医の矜持

『外科医の矜持 腹腔鏡手術に魅せられた36年』

著者:黒柳洋弥
出版社:ゆみる出版
価格:1,870円(税込)
発売日:2025年3月

外科医としての手術を学ぶことの楽しさ、奥深さ、患者さんの人生に関わることの重さ、そこから得られる喜びを、若い世代へ、そしてこれから手術を受ける方々へ向けて綴った一冊。自分の知識と技術、そして折れない心を持って、患者さんと一緒にその一大事に立ち向かうこと、それこそが外科医の矜持である、という想いが込められています。

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